【野菜づくり】2021年春夏 家庭菜園で埼玉青大丸なすの無肥料自然栽培に取り組む
埼玉青大丸なすについて
「埼玉青大丸なす」は明治時代に埼玉県に導入され栽培されてきた、きんちゃく型のナスです。アントシアニン系色素が無いので、果実は緑色です。
昔は奈良漬け用に経済栽培され、味噌汁や煮物用の食材と重宝されてきました。
栽培過程
無肥料かつほぼ放任で栽培しましたが、初年からとても美味しい埼玉青大丸なすを収穫することが出来ました。
日付 | 生育状況 | 作業 | 詳細 | 反省点 |
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2月27日 | 土づくり | 畑にバーク堆肥をまく | ||
3月13日 | タネを注文 | 無肥料栽培にチャレンジするため、固定種野菜のタネを取り扱う「野口のタネ オンラインショップ」を利用 | ||
3月14日 | 畝立て | 畝幅90㎝、高さ15㎝、長さ4.5m 透明マルチで覆う | ||
5月5日 | タネまき(畑に直播き) | 株間50㎝、1ヶ所に3粒ずつ | 問題なく育ったが、整枝を行わなかったため枝葉が込み合っていた | |
5月11日 | 発芽を確認 | |||
6月13日 | 本葉3枚 | 株の間引き | 残す株の根を傷つけぬよう、引き抜かずにハサミで株元をカット | |
7月16日 | 果実が出始める | |||
7月20日 | 収穫可能な果実が出始める | 初収穫 | ||
8月23日 | 株の勢いが落ちる | 収穫 | 通算86個収穫 | |
9月7日 | 果実が黄色くなる | 採種用の果実を収穫 | ||
10月3日 | 終了 | 株を撤去 | 撤去のタイミングが遅れてしまい、秋冬野菜の準備が後手に回ってしまった |
タネまき
今回は、幅90㎝、高さ15㎝、長さ4.5mの畝を透明マルチで覆い、マルチ穴あけ器を使って畝幅の中央線上に50㎝間隔で8か所の穴をあけ、1ヶ所につき3粒ずつまきました。
覆土は、「タネが隠れ発芽までの2週間湿度がとれる程度」です。
タネの発芽は、①水分、②温度、③空気、の3要素の他に、光も影響します。
「光への反応」という部分に焦点を当ててタネを分類すると、3つに分けられます。
- 好光性種子(こうこうせいしゅし)⇒光に反応して発芽する
- 嫌光性種子(けんこうせいしゅし)⇒光に反応して発芽が抑制される
- 非光感受性種子(ひこうかんじゅせいしゅし)⇒光の影響を受けない中間種
タネの播き方は以下の通りです。
- 好光性種子⇒土は薄くかける、もしくはかけない。かけない場合は乾燥に注意
- 嫌光性種子⇒タネの直径の2~3倍の深さに播く
ナスは嫌光性種子に分類されるので覆土はするのですが、タネが小さいため、あまり地中深く落とし過ぎないことに注意が必要です。
なお、埼玉青大丸なすの畝ではべた掛けシートは使用しませんでした。
苗の間引き
本稿の「埼玉青大丸なす」と、同時にタネをまいた「真黒なす」のナス2品種は割と良い発芽率でしたので、しばらく複数の苗を生長させ、苗が写真のような大きさになったところで一番元気の良さそうな苗を残し、他をハサミでカット。
このような手法をとった理由は、参照している書籍「固定種野菜の種と育て方」(野口勲・関野幸生 著/創森社/2012年)に「真黒なす」の育て方が掲載されているのですが、直播および間引きについての記載は、「60㎝間隔で1ヶ所に3粒播き、最終的に1株になるように間引きます」とあるのみだったので、割とアバウトで良いのかなと判断したためです。
間引く際の重要なポイントは、残す苗を傷めないようにすることにあります。私はハサミを使って苗をカットして間引きを行いました。
なお、苗の間引きについては以下のサイトも参考にしながら作業をしました。
成長過程
間引いた後はほぼ放任で栽培しました。
本来はこのタイミングで整枝するようですが、今回は何も行っていません。
整枝をしないとこのように枝葉が込み合いますので、出来れば整枝はしたほうがよいようです。
来年は一般的な3本仕立てで栽培してみたいと思います。
収穫
7月16日に、果実が出来ているのを確認出来ました。その後、7月20日に初収穫を行い、9月7日まで86個の収穫がありました。
実をつけ始めたようです。
こちらの果実を初収穫しました。
収穫した果実は蒸しなすや天ぷらにして頂きましたが、実がしっかりして食べ応えがあり、とても美味しかったです。
近所のスーパーで売られていたものと比較すると、二回りほど小さいです。肥料の有無による違いでしょうか?
株の勢いがかなり落ちてきました。
採種用の果実を収穫
無肥料栽培を成功させるコツの1つに、自家採種したタネを翌年以降も使うというものがあります。
そのため、私も来年は自分で採ったタネで埼玉青大丸なすを育ててみたいと思い、栽培の締めくくりとして黄色く変色した果実を収穫しました。
株の撤去
10月3日にすべての株を引き抜いて撤去しました。根がしっかり張っていて、引き抜くのは一苦労でした。
その後、しばらく株を放置していましたが、放置しても枯れて小さくなるものではないらしく、通常は燃えるごみとして処理するとのこと。そのため、のこぎりで枝を小さく切り分け、45リットルのごみ袋へ。
栽培後記
せっかく家庭菜園をやるのだから、スーパーで売られているのとは違う珍しい野菜も育ててみたいと思って選んだのが「埼玉青大丸なす」 でした。
しかし、興味を持ってよく見ると、私が住んでいる地域では、数量は少ないのでしょうがちゃんとスーパーで売られている野菜でした。
無肥料栽培で育てた果実はスーパーで売られているものとの比較で二回りほど小さかったですが、味はしっかりした濃い味を楽しむことが出来ました。
無肥料栽培のためか、スーパーで売られているものより二回りほど小さいです。
同じ野菜でも栽培方法によってこうも味が違うのかと驚きました。
(おわり)