【はじめる前に】家庭菜園をやるメリットあれこれ

【はじめる前に】家庭菜園をやるメリットあれこれ

はじめに

私が家庭菜園を始めた直接のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限でした。

私の本業は会社員ですが、仕事のストレス解消に飲みに行ったり旅行をしたりということが出来なくなったので、代わりになるものがどうしても必要だと思い、以前から興味のあったものの踏み切れないでいた家庭菜園をはじめることを決意。

そんな中、近所の川辺にある家庭菜園用の畑が空いているとの話を聞きつけ、仕事との両立を心配しながらも思い切って畑を15坪(約50㎡)借りました。

15坪の畑にバーク堆肥を漉き込む

初めての農作業に不安はありましたが、試行錯誤しながら徐々にスキルを身に付け、これまでのところは「はじめて良かった」との思いを強くしています。

具体的にはどんなところを良いと感じたのか、思いつくままに書いてみたいと思います。これから家庭菜園をはじめたいが仕事も忙しくて躊躇している現役世代の方々の参考になれば幸いです。

成果が目に見える

なんと言っても家庭菜園を含む農業において一番嬉しい瞬間というのは、作物を収穫する時ではないでしょうか。

ところで、何を栽培するかを決めるにあたっていろいろと調べる中で、野菜のタネには「F1種」と「固定種(在来種)」があることを知りました。

「F1種」とは、学生の時に習ったメンデルの法則の「優劣の法則」を利用することによって品種改良を行った雑種第一代のタネのことで、大きさや形状が均一な野菜の生産を可能にするとともに、特徴の異なる遺伝子同士を組み合わせることによって強くなる「雑種強勢」の効果によって病害虫への耐性などの強さを兼ね備えています。

ただし、F1種から採取されたF2種(雑種第二代)では、メンデルの第二法則「分離の法則」によって3:1の割合で大きさや形状の異なる作物となってしまいますので、採種による翌年以降の栽培には不向きです。

いっぽう、「固定種」とは「固定された形質が親から子へ受け継がれるタネ」のことで、収穫した果実からタネを採り、またそのタネをまいて次の年の果実を収穫することが可能です。

さらに、食の安全を重視して固定種野菜の「無肥料自然栽培」という取り組みが行われていることを知りました。

野菜づくりには当然肥料を使うものと思っていたので、正直なところ肥料なしで野菜が育つとはあまり思えませんでしたが、どうせ素人なのでダメでもともと、仮に上手くいけば肥料代や翌年以降のタネ代が要らないのでコスパが良いかもぐらいの気持ちで、無謀にも「無肥料自然栽培」に取り組んでみることに。

これが初年度は意外にも成功と呼べるような結果が出ました。

私が初年度に栽培、収穫に成功したのは「ときわ地這キュウリ」「真黒なす(しんくろなす)」「埼玉青大丸なす」「ピッコロ人参」「紅赤(サツマイモ)」「今市かぶ」「極早生キャベツ」「章姫(イチゴ)」「宝交早生(イチゴ)」でした。

もちろん失敗もあり、「ホワイトビューティトマト」「ブロッコリー(ドシコ)」は収穫に至らず。

トータルで見れば、たぶん幸運だっただけなのでしょうが、まずまずの収穫を得ることが出来ました。

ともあれ、初めて小さな果実を見付けた時のワクワク感や、実際に収穫出来た時の達成感はいまだに忘れることが出来ません。

「ときわ地這キュウリ」の果実を初確認

ストレス解消、健康増進になる

小さなスペースではじめる家庭菜園の場合、作業のほとんどは実際に自分の手足を動かして行うことになると思います。

クワを使って畑を耕すと、仕事では絶対に使わない筋肉を使うのでいい運動になります。次の日必ず筋肉痛になりますが…。

また、手鎌や草抜きホーを使って雑草を処理する作業は、面倒と言えば面倒なのですが、反面、単純作業なので作業に没頭出来ます。

手鎌
草抜きホー

私は仕事で疲れた脳を草刈りでリフレッシュしているなと感じます。

実際に草刈りを健康増進プログラムとして採用している自治体などもあるようです。

また、ランニングをする人にはおなじみの、脂肪をエネルギーに変えるゼリーなどを摂取した後に農作業をしたらダイエットにもなりそうです。

また、「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」(フローレンス・ウィリアムズ著 栗木さつき・森嶋マリ訳/NHK出版/2017年)という書籍によれば、土のにおいはリラックス効果につながるようです。


NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

家族のコミュニケーションが良くなる

ストレス解消のためとはいえ、旦那が外で飲み歩くと奥さんにはあまりいい顔をされないのではないでしょうか。

また、飲み過ぎて翌日かえって体調が悪いというのはよくある話で、本末転倒だなと思うことしきり。

でも、ストレス解消に家庭菜園をはじめたいと言ったら、かかる費用にもよりますが奥さんは案外すんなりとOKしてくれるのではないでしょうか。

我が家でも、これに関しては意外にあっさりと許可が出ました。やはり、採れたての野菜を食べてみたいとは多くの人が思うもの。相手にも大きなメリットを感じてもらうことが出来れば、交渉は上手くいきます。

家庭菜園をやると決まれば、何をつくるかの話で盛り上がれます。奥さんから家庭で使う頻度の高い野菜をつくってほしいとリクエストされたかと思えば、子供たちからは甘いフルーツ野菜が食べたいとせがまれたりと、嬉しい悲鳴を上げるシチュエーションが起こり得ます。

また、実際の農作業もコミュニケーションの好機。我が家では、当初貴重な労働力としても期待していた奥さんがまさかの「あたし食べるの専門」発言で想定外のワンオペ農作業となりましたが、一計を案じ、小学生の子供を戦力化することに成功しました。

と言っても大した話ではなく、農作業を例えば「草刈り」や「水やり」といったタスクに分け、それに100円とか200円というように金額を貼り付けて、子供がそれをやってくれたらお駄賃として支払うというものです。

効果はてきめんで、子供は頼んでもいないのに畑に来て「何か仕事ない?」と聞いてきます。

この時は絶好の親子のコミュニケーション機会となります。やってもらいたい作業とその手順を説明しつつ、家庭菜園をやって良かったとしみじみ思います。

実際には仕事はあったりなかったりするのですが、子供のやる気を削ぎたくないので無理やりにでも仕事を作ってあげて必ずお駄賃を支払っています。

サツマイモの収穫を楽しんでお駄賃ももらえるシステム

毎週最低500円は支払っているので、これを野菜を栽培する費用と考えると買ったほうが安いかなとも思いますが、家族のコミュニケーションという観点では、高いお金を払ってどこかに出掛けるよりはずっと安く済み、かつ子供に野菜に親しむきっかけを与えることが出来ているので、なかなか有効な投資ではないかと思います。

続ければ家計の足しになるかも

家庭菜園をはじめる際には、最低限必要な道具を揃えるための初期投資が必要です。また、道具を揃えたからと言ってはじめから上手く野菜をつくれる保証はありません。ですので、はじめのうちはどうしても「買ったほうが安い」との思いにとらわれがち。斯く言う私もまだまだそのステージです。

また、私の場合はコスパ重視のつもりで「無肥料自然栽培」に取り組んでいますが、現状ではあまり一般的な栽培方法ではないので、関連書籍を買い漁ってほぼ独学で勉強し、試行錯誤しながらやっています。この方法は書籍代と時間的コストがかさむような気もしています。初めのうちはいま流行りのサポート付貸農園を利用してスキルを身に付けたほうがトータルではむしろコスパが良いかもわかりません。

ともあれ、数年やって栽培スキルを身に付け、家庭で使う頻度の高い野菜を毎年コンスタントに作れるようになれば、やはり家計には間違いなくプラスでしょう。インフレが進む今般の状況であればなおさらです。

また、日本に住んでいるとなかなか想像しにくいですが、世界的には人口が増えていて、将来の食糧危機が懸念される中、「野菜がつくれる」というのはなかなか貴重なスキルではないかと感じます。

(おわり)