【野菜販売】自家消費しきれない野菜をメルカリで売ってみた

【野菜販売】自家消費しきれない野菜をメルカリで売ってみた

はじめに

家庭菜園での無肥料自然栽培は当初想定していたよりも順調に進行しています。

野菜づくり初心者の私の周りには農業に詳しい知人もいなかったため、野菜づくりを始めるにあたっては独学でゼロから情報を集めるという状況でしたので、手始めに関連書籍を読み漁る中で「野菜づくりには肥料が必要不可欠」という先入観に囚われることなく、運よく「無肥料自然栽培」の存在をキャッチすることが出来ました。

また、初心者であるが故に失敗しても失うものは何もないと割り切って「無肥料自然栽培」に踏み切ったわけですが、当初は周囲の反応はやはり冷ややかなものでした。

「肥料を使わないで野菜が出来るの?」

とよく質問されましたが、初心者の私が自信を持って答えられるはずがありません。

内心不安な気持ちを抱えつつ農作業を続けていましたが、私の心配をよそに作物は概ね順調に育ってくれました。

それどころか、長さ約5mの畝から収穫されるキュウリやナスは自家消費可能な量をはるかに上回り、余りははじめのうちは近所に配っていたものの、だんだんそれもはばかられる状況に。

当初全く想定していなかったこの状況は、うれしい悲鳴と言ってしまえばそれまでですが、余った野菜を腐らせてしまうのは本意ではありません(無肥料自然栽培の野菜は一般栽培のものとの比較で腐敗の進行はかなり遅いようですが)。

そこで、家庭菜園とはいえ「無肥料自然栽培」で育てた野菜であれば、「食の安全」の観点からみて一定の需要はあるのではないかと考え、これまたダメでもともとという気持ちで「販売」を検討することにしました。

個人が野菜を販売する方法について

情報収集の過程で出会った書籍「確実に稼げる週末農業 副業入門」(岡本恭子 著/ソーテック社/2014年)を参照しつつ、個人が野菜を販売する方法について理解を深めました。

まず気になったのが、そもそも個人が家庭菜園で栽培した野菜を販売していいのかということでしたが、これは特に問題ありませんでした。

ただし、野菜そのものを販売するのではなく加工品にして販売する場合や、有機野菜を販売する際には注意点があります。

野菜を販売するときの注意点

野菜を使った手作り菓子やジャムなどの加工品に関しては、食品営業法に基づく営業許可や食品衛生責任者の免許が必要です。

また、つくっている野菜が有機野菜だったとしても、商品名に「有機-」と表示出来るのは有機JAS認証を受けた野菜のみです。

有機JASマークがない農産物や農産物加工食品に「オーガニック」「有機」と表示するなどの表示は禁止されており、違反した場合は「日本農林規格等に関する法律(昭和 25 年法律第 175号)」第76条に規定する罰則の適用を受けることとなります(1 年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金)。

有機農産物検査認証制度ハンドブック:農林水産省

個人が販売しやすい方法について

書籍で紹介されていた販売方法は以下の5通りです。

  1. 直接知り合いや地域の人に販売する
  2. カフェやレストランに買い取ってもらう
  3. フリーマーケットなどイベントで販売する
  4. ブログなどのソーシャルメディアで販売する
  5. ネットショップをつくる

・・・どれも現在の私にとっては敷居が高いと感じてしまいました。また、参照している書籍は2014年出版で、情報がやや古い可能性があります。

現在においては他にも販売方法があるのではないと考えて調べを進めてみたところ、私もすでに不用品の整理などに利用している大手フリマサイトのメルカリで、かなり多くの野菜が出品されていることを知りました。しかも、プロ農家の規格外野菜はもとより、家庭菜園でつくられた野菜も多く出品されているようです。

現在の私に手掛けることのできる最善の方法はこれだと思い、メルカリを利用した野菜販売をやってみることにしました。

野菜をメルカリで売ってみた

まず気になったのが、野菜をどのように発送するのかということでしたので、いろいろな出品者の方の商品を拝見したところ、印象としては「宅急便コンパクト」専用ボックス(縦25㎝×横20㎝×厚さ5㎝)に収納可能な小さめの野菜を出品している方が多いようです。

また、鮮度も気になるところでしたが、こちらについては、ものにもよるのでしょうが多くの方が常温で発送しており、収穫後速やかに発送することを心掛ければ特に問題はなさそうです。

それにしても、皆さんがそれぞれに魅力的な商品を出品しており、すでにメルカリ内において野菜売買の一大マーケットが形成されていることは新鮮な驚きでした。

もしかするとこれはすでにレッドオーシャンかもしれません・・・。

野菜をメルカリで買ってみた

魅力的なプロダクトの数々に触れる中で、まずは買い手としてメルカリ野菜に関わってみようと思い、特に気になった商品について実際に注文してみることにしました。

注文の翌々日にミニトマト、ししとう、モロヘイヤの詰め合わせが届きましたが、鮮度保持袋に入れて届けられた野菜に問題は全くなく、美味しく頂くことが出来ました。

丁寧な梱包で届けられた野菜

買い手として商品を注文してみて感じたことは、サムネイルと商品紹介文の大切さでした。

現在メルカリにはかなり多くの野菜が出品されているため、その中からまず購入商品の候補を選択するのが大変です。

そこで、ただ単に野菜の写真を1枚使っただけのサムネイルよりは、魅力的なキーワードや複数の写真をきれいに編集したサムネイルのほうが目に留まりやすいので、必然的に検討対象となりやすいです。

当たり前ですが、どんなにいい商品でも目に留まらなければ購入されることはないでしょう。

そして、幸運にも目に留まったあとは、上限1000文字の商品紹介文で、例えば「産地直送」や「食の安全」など、形や見た目以外に購入意欲を掻き立てるセールスポイントについて適切に伝える必要があります。

実際に買い手として購入を検討する中で、最低限として上記2点をクリアできた商品だけに買い手がつくのだなと感じました。

発送方法について

今回、私が販売しようと考えたのは、無肥料自然栽培を行って収穫した「真黒なす」と「埼玉青大丸なす」の詰め合わせです。

多くの出品者の方が利用していた「宅急便コンパクト」では厚さが足りないと感じたので、郵便局のe発送サービス「ゆうゆうメルカリ便」限定のサービスである「ゆうパケットプラス」を利用することにしました。

郵便局やローソン、メルカリストアで販売している「ゆうパケットプラス専用箱」に商品を梱包しますが、この専用箱は厚さが7cmあるため、厚みや高さのある商品を発送する際、とても便利です。

ゆうパケットプラス

「ゆうパケットプラス専用箱」 に 「真黒なす」を4~5本と、小ぶりの「埼玉青大丸なす」を2個 詰め合わせることにしました。

また、なすは常温での発送で問題はないでしょう。

サムネイルについて

メルカリにおいて投稿できる画像サイズは640×640ピクセルの正方形のみとのこと。

スマートフォンで撮影した写真を「GINP」という無料の画像編集ソフトで加工してサムネイルを作成しました。

試行錯誤しつつ、2種類のサムネイルを用意。

商品紹介文について

乏しい文才をふり絞って以下のような商品紹介文を作成しました。

「家庭菜園に取り組んでいます。

栽培方法を勉強する中で、「食の安心・安全」という観点から農薬・化学肥料はもとより、動物飼料に含まれる有害物質を懸念し有機肥料も一切使用しない「無肥料自然栽培」に強く惹き付けられ、ダメもとでチャレンジしました。

結果、幸いにも好収穫を得ることが出来ましたので、自家消費しきれない分を出品したいと思います。

栽培過程ですが、前年までサツマイモを栽培していた区画(残留肥料が比較的少量と推測)を借り、土壌改良目的でバーク堆肥(原料:樹皮)のみ畑に漉き込みました。

近代農業において主流のF1種(一代雑種)ではなく固定種(在来種)のタネを5月に入ってから畑に直播きし、剪定等は行わずほぼ放任栽培したところ、無肥料のためか病虫害の影響もほとんどなく丈夫な株が育ちました。

今回は「真黒なす(しんくろなす)」4~5本と「埼玉青大丸なす」2個を「ゆうパケットプラス」の専用箱に詰めてお届けします。

タイトル入り写真のナスは私が実際に栽培し、収穫したものです。

無肥料のためか「青大丸なす」はスーパーでの販売品との比較で二回りほど小さいですが、そのぶん身が引き締まっており、食味はとても良いと思います。蒸しナスがおすすめです。

また、「真黒なす」はすっきりとした食味で、揚げナスや焼きナスにして美味しく頂けます。

栽培過程にこだわった野菜は安心してお召し上がり頂け、また野菜本来の味をお楽しみ頂けると思います。

家庭菜園での無肥料無農薬栽培ですので、スーパーでの販売品との比較では、キズ・汚れ・傷み・虫食い・大小のバラツキなど見られるかと思いますので、ご理解頂ける方のみご購入をお願いします。完璧な商品をお求めの方はご購入をお控え下さい。

収穫後そのまま鮮度保持袋に入れて梱包しますので、よく洗ってお召し上がり頂きますようお願いします。

埼玉県から常温発送します。

生鮮食料品ですので、できる限りお近くにお住まいの方、到着後すぐにお受け取り頂ける方にご注文頂ければ幸いです。

配送時の破損や紛失等の事故やトラブル等、全て責任を負いかねますのでご了承下さい。

購入後の返品・クレーム等お受け出来ません。ご理解頂きました上でご購入下さい。

基本的には平日は仕事で作物の梱包作業が早朝に限られるため、土日のみの出品とし、ご注文の翌日早朝速やかに収穫・梱包・発送いたします(休日は可能な限り速やかに対応いたします)。」

野菜をメルカリで売ってみた

サムネイルと商品紹介文の準備が整ったところで、販売価格を設定しました。

記念すべき初回出品分は詰め合わせ1箱で799円としました。

内訳は、送料が440円(うち専用ボックス65円)、メルカリへの手数料79円(10%)、販売利益280円です。

準備が整ったのでいざ出品。

すると、出品から1時間ほど経ったところで、有難いことにご購入いただくことが出来ました。

当日は休日だったためすぐに畑に行って収穫を行い、急ぎつつも丁寧に梱包、休日営業を行っている郵便局の窓口に持ち込みました。

収穫後すぐに梱包しました

お客さまのお住まいの地域が近郊だったため、翌日にお届けできたようです。

曲がりなりにも努力が実ったと感じ、とても感動しました。

おわりに

しかし、世の中それほど甘いものではなく、それ以降は注文のない日が続きました。

その間、注文が来ていないかとメルカリが気になって仕事に集中できないと感じたため、一旦出品を停止することに。

当分は採れ盛るナスを何とか美味しく料理する方法を探す日々が続きそうです。

(おわり)