【はじめる前に】家庭菜園のデメリットと対処方法
はじめに
実際に1年間、仕事をしながら家庭菜園に取り組んでみて、デメリットだと思ったこととその対処法をまとめました。
草刈りが大変
私の感覚では、農作業の7割以上の時間を草刈りに充てているような気がします。
私の場合は、川の土手に隣接する15坪(約50㎡)のスペースを借りましたが、土手に生い茂る雑草からタネが飛んでくるのかスペース内に雑草がはびこりやすく、春から秋にかけてはほぼ毎週草刈りをしていました。
これはなかなか重労働で、はじめのうちは翌日に必ず筋肉痛になっていました。
対処方法について
とにかく、なるべく体に負担のかからない姿勢で作業をすることだと思います。
私は当初、雑草を根ごと引き抜こうとしゃがんだ姿勢で作業をしていましたが、引き抜く瞬間に大きな力がかかるのと、しゃがむということはまた立ち上がるという動作が必要なので、足にスクワットのような負荷がかかります。
これを良いトレーニングと捉えることも出来るので、逆にメリットにもなり得るのですが、そこは人それぞれ。
デメリットと捉える場合は、なるべく体に負担がかからない姿勢で行う必要があります。
具体的には、柄の長い草削り(ホー)を使い、立ったままの姿勢で雑草の地上部分を削って処理するのがよいと思います。
根ごと引き抜いてもまた雑草は生えてくるので、草刈りは定期的に行うものと割り切り、なるべく楽な姿勢で行いたいものです。
ただし、どうしても根ごと引き抜きたい場合もあるかと思いますので、そのような場合にはハンディタイプの草抜きホーを使うとよいでしょう。
とにかく虫が多い
畑には、野菜を食害する害虫に限らず、とにかく本当に多くの虫がいますが、これはもうどうしようもありません。ですので、生理的に虫が嫌いな方は家庭菜園はやらないほうが無難だと思います。
借りた畑のロケーション等により多少種類は違ってくるのでしょうが、私が農作業中に出会った虫たちを列挙してみると、だいたい以下の通りです。
カ、ハエ、ハチ、アブ、テントウムシ、アリ、アオムシ、ケムシ、ゲジゲジ、ダンゴムシ、クモ、バッタ、カマキリ、チョウ、コオロギ、ミミズ、etc.
なかなかのラインアップ。見るのも嫌であれば家庭菜園はあきらめるより他ありませんが、そこがクリアできるのであれば、直接対策する必要があるのは蚊やハチなど刺す虫に対してということになるかなと思います。とりわけ蚊への対策は必要不可欠です。
やぶ蚊対策について
家庭菜園に現れる蚊といえば、俗にやぶ蚊といわれる「ヒトスジシマカ」が大半だと思います。
やぶ蚊対策の1つとしては、蚊が活動する気象条件や時間帯を外して農作業をすることが考えられます。
殺虫剤メーカーのフマキラーのサイトによると、ヒトスジシマカは約25~30℃の気温を好み、明け方から昼前までと夕方(15~19時まで)に活動が活発化するようです。
蚊の活動が鈍る気象条件について
夏に出現するイメージの強い蚊ですが、実際には季節よりも気温が大きく関係するため、暖かい気候であれば昼夜を問わず活動します。また、地球温暖化の影響か各シーズンの気温が上昇しているように感じますので、蚊の対策期間は長くなっていると考えられます。
対策期間中がちょうど家庭菜園の作業時期と重なるイメージですが、その中で、蚊の活動が鈍る気象条件は以下の通りです。
猛暑
近年は早ければ6月下旬から35℃を超える猛暑になることも珍しくなくなりました。
そんな猛暑日に農作業をしていると、意外なほど蚊がいないことに気が付きます。それもそのはずで、日本に生息する蚊は、気温30℃以上になると動きが停滞するそう。
暑さに強い人が、通気性の良い麦わら帽子などで直射日光や蒸し暑さから頭を守りつつ、保冷性に優れた水筒に飲料水を入れて持参するなど、万全の熱中症対策を施したうえで短時間だけ作業を行うのはやぶ蚊対策としてはありかなと思います。
私は実際にこの方法を採用していますが、日焼けを気にしなければ半袖短パンでの作業も可能で、スポーツのような爽快感が味わえます。
肌の露出部分にミスト式の虫除けスプレーを施しておくとさらに安心です。
雨の日
経験上、確かに雨が降っている日には農作業中に蚊に刺されることは少ないと思います。
人にとってはたいしたことのない雨粒も、小さな蚊にとっては、当たればかなりの衝撃となります。そのため、蚊は湿気などで雨が降ることを察知する能力を持っていて、雨が降り出す前には軒下や葉陰などに避難するとのこと。
ただし、私も個人的には蚊と同じように、雨の日には家の中でじっとしていたいので、やぶ蚊対策として雨の日に作業をするいうのは、なしかな・・・。
風が強い日
蚊は風が強いと小さな体が簡単にあおられてしまうため、風が強い日も苦手です。
また、蚊は人間の熱や吐く息(二酸化炭素)を「毛状感覚子」という器官で感知して人に近づきますが、風が強いと二酸化炭素などが散らされてしまうため、毛状感覚子の働きが悪くなってしまいます。
ただし、風が強いとやりにくくなる農作業も多くなります。タネまきやマルチシート張りは難しくなるので、草刈りなど強風の影響を受けにくい作業に限定して行うと良いかもしれません。
虫が寄り付きにくい加工を施したウェアを着用する
上記のような気象条件は、一般的には人間にとっても活動しにくいと言えます。ですので、朝夕の涼しい時間帯に農作業を行う場合は、やぶ蚊の活動時間帯と重なりますので、体の上下とも肌を露出せず虫が寄り付きにくい加工を施したウェアを着用するのが良いと思います。
私は、職人向けの作業服専門店からスタイリッシュなアウトドアショップへと変貌を遂げ、アパレル業界を席巻しているワークマンの「AERO GUARD STRETCH 長袖ジャンパー」と「AERO GUARD ステルスパンツ」を着用しています。最近大きな話題となっているのも納得のおしゃれなデザインのわりに値段も安く、とても良い買い物をしたなと思います。
もちろん防虫性能はかなり高くほとんど不快な思いはしませんが、私が購入したパンツは通気性も重視したため生地が薄く、特殊加工を克服して服の上から刺してきたつわもののやぶ蚊がごく少数ながら存在しました。
また、蚊は人の目のように色を識別することができず、光の波長で色を見分けているため、ハッキリと識別できる黒っぽい濃い色を好む傾向があるようです。実際、ある実験によると白い服を着ている人よりも、黒い服を着ている人の方に約10倍もの蚊が集まったというデータが報告されているとのこと。
ですので、ウェアの色については黒は避け、出来るだけ淡い色を選ぶのが無難です。
やぶ蚊に刺されるのは絶対にいやだという向きには、さらに小型の蚊取り線香を腰にぶら下げて作業するなどの対策を併用すると良いと思います。
スズメバチ対策について
受粉を手助けしてくれるミツバチはウェルカムですが、スズメバチは刺されると死に至ることもあるため、その姿を近くで見ただけであせってしまいます。実際に私の菜園スペースにもたまに飛来します。その時は走って逃げだしたくなる衝動を抑え、出来るだけ身を低くしてゆっくりとその場を離れるようにしています。
また、スズメバチは黒いものを攻撃する習性がありますので、なるべく黒っぽい衣服を着用しないことも対策になります。これはやぶ蚊対策とも共通です。
週末しか作業が出来ない
私は幸いにも自宅から徒歩5分圏内のスペースを借りられましたので、週末のほか早朝の時間を作業に充てることが出来る状況ですが、そのようなケースはごくまれで、実際には栽培スペースに通うのにある程度の時間を要するケースのほうが一般的だと思います。
ただし、私も現役の会社員なので平日の出勤前の農作業は出来るだけ避けたいのが本音です。
ですので、私が止むを得ず平日早朝にせざるを得なかった農作業をピックアップし、それに対して対策していくと対処法の1つになるのかなと思います。
夏野菜で毎日収穫したほうが良いものの栽培を避ける
私は固定種(在来種)の「ときわ地這キュウリ」を栽培しています。生育は非常に旺盛で、無肥料かつほぼほったらかしの放任栽培でも多くの収穫を得ることが出来ました。
ただし、メリットとデメリットは表裏一体で、収穫時期には毎日畑に行ってこまめに収穫しないと、すぐに果実が肥大化してしまいます。
また、私の借りたスペースは都市部とは思えない緑豊かなロケーションで、カラスをはじめとする鳥の飛来も多いのですが、鳥除けネットなどの対策を特にしていなかったため、1日でも収穫をサボると多くの果実を食害されてしまいます。
ですので、仕事のある平日に無理やり早起きして収穫作業を行いましたが、正直これはなかなか大変でした。
夏野菜ではキュウリのほか、オクラも毎日収穫したほうが良いようです。
一方で、同時期に同じく固定種(在来種)の「埼玉青大丸なす」と「真黒なす(しんくろなす)」を「ときわ地這キュウリ」同様に無肥料かつほぼほったらかしの放任で栽培しました。
運よくこちらも豊作で、家庭では消費しきれずにフリマアプリに出品したほど。これらのナスは毎日収穫しなくても大丈夫でした。
ですので、どうしても週末しか作業が出来ない場合は、なかなか難しいですが栽培品目からキュウリとオクラを外すことは検討する必要があるかなと思います。
もっとも、キュウリの場合はある程度の肥大化を許容し鳥害対策を施せば週末だけでも何とかいけるかなという気がします。オクラは栽培の経験がないので何とも言えませんが・・・。
サポート付貸農園を利用する
農地再生の一環として最近急速に増えているサポート付貸農園というサービスでは、お世話付きの区画や栽培代行サービスもあるようで、場合によっては月1~2回の作業でも家庭菜園が楽しめるようです。
費用の面からは一見安くないものの、農具や資材を買う初期費用(これがけっこうバカになりません)がかからず、また野菜づくりに長けたアドバイザーが常駐していたり、水道やトイレ、休憩スペースなどの設備がしっかりしているので、小さなお子さんがいるご家庭が家族のコミュニケ―ションを兼ねて野菜づくりに取り組む場合は、こちらが最善手だと思います。
(おわり)